ほとんどのガムに配合されているキシリトール。

とりあえず「歯にいい」ことは知ってるけど、「なんで効果があるのか」知っている人は少ないと思います。

なぜキシリトールは歯にいいのでしょうか?

キシリトールとは甘いのに歯にいい甘味料

キシリトールとは本来「糖アルコール」という天然由来の甘味料。イチコやキノコに含まれています。

「アルコール」と聞くとお酒のイメージがありますが、一般的なアルコールは「エタノール」という物質のこと。

キシリトールはお酒のように酔ったりしないので安心してください。

アルコールの種類
アルコール その他(複数の種類がある) エタノール(お酒)
糖アルコール キシリトール(今回説明する成分)
エリトリトール(こちらも虫歯予防成分)

法律的には「添加物」として扱われていますが、ガムなどでは「虫歯予防」を目的として配合されています。

砂糖と同じ甘さなのにカロリーが4割以下というのもガムにピッタリですね。

医学的に証明されたキシリトールの3つの効果

キシリトールの研究は積極的に行われています。現在医学的に明確に証明されただけで3つの効果があります。

虫歯予防

虫歯予防効果は有名ですね。

キシリトールの虫歯予防効果は世界保健機関(WHO)や 国連食糧農業機関(FAO)もその効果を認めています。

キシリトールは虫歯予防に効果がありますが、根拠は2つ。

  1. キシリトールは虫歯菌のエサにならない
  2. 虫歯菌の働きを弱める

ここで大切なのは2「虫歯菌の働きを弱める」点。

キシリトールは虫歯菌のエサにならないですが、虫歯菌はキシリトールを体内に取り込もうとします。

その結果、無駄な体力を消耗してしまい虫歯菌の働きが弱まってしまうのです。

ただし「キシリトールそのものは歯の再生は行わない」です。

一応、「キシリトール配合のガムを噛むことで唾液が出る「→「唾液の効果により歯の再生が促される」という副次的な効果はあります。

今でも「キシリトールで歯の再生は出ないか?」という研究は続けられており、2000年には「フノリ抽出物と第2リン酸カルシウムを配合したキシリトールチューインガムの実験的初期齲蝕エナメル質に及ぼす再石灰化促進効果」という論文がロッテと東京歯科大の共同で発表されています。

タイトルだけ見ると難しそうな内容ですが、ようは 「フリノ抽出物」「第2リン酸カルシウム」「キシリトール」を混ぜたガムなら初期の虫歯でダメージを受けた歯を再生できる といった内容です。

この研究によって誕生したのが今発売中のロッテキシリトールガムになります。

糖尿病の人でも安心して使える

キシリトールは「糖分」である「砂糖」と同じくらい甘いです。

その為、糖尿病の患者は食べられない・・・というわけではないです。

糖尿病は糖の代謝に必要なインスリンに関する異常によって発症します。

キシリトールのメリットは、このインスリンがなくても代謝が可能であり、かつ血糖値が上がらないのです。

なので糖尿病の人でもキシリトールなら糖分の甘さを感じることが出来るのですよ。

12歳の子供の急性中耳炎の予防

急性中耳炎とは、3歳以下のお子様の80%が一度はかかるといわれている細菌由来の病気。放置すると重症化、難治化するので早期の対応が必要になります。

2016年に行われたアメリカの研究によると、子供にガムやシロップなどでキシリトールを与え続けること急性中耳炎の発症率を8%ほど減少させられたとのこと。

研究論文:12歳までの小児における急性中耳炎予防のためのキシリトール(日本語訳)

ここまでを3行でまとめると
  • キシリトールは虫歯予防に役立つが、歯の再生は行わない
  • 砂糖のように甘いが糖尿病の人でも食べることが出来る。
  • 子供の中耳炎を予防できる

キシリトールの副作用は軽い下剤効果

キシリトールの副作用は軽い下剤効果です。

ガムの使用上の注意に「一度に多量に食べると体質によりお腹が緩くなる事があります」と書かれているのですが、これがキシリトールの副作用。

この下剤効果はキシリトールだけでなく他の糖アルコールも同様です。

便秘で悩んでいる方はガムをいっぱい噛むことで悩みを解決できる可能性がありますよ。

犬にはキシリトールを食べさせないで!

キシリトールは犬にとって猛毒。

もし、犬がキシリトールを摂取すると、インスリンという糖を分解する物質が過剰に分泌され、肝機能にダメージを受けます。最悪死ぬ可能性があるので注意しましょう。

日本には生息していませんが、「オナガミツスイ」という鳥もキシリトールを摂取した場合、30分ほどで死亡してしまいます。

キシリトールの製造方法

キシリトールはどうやって人工的に作られるのでしょうか?

主な原料となるのは「綿の種実」「トウモロコシの芯」「バカス(さとうきびから汁を取った後のもの)」。いずれも家畜の肥料としても利用されています。

これらを分解して「キシラン」という炭水化物を抽出。これを水に入れて「加水分解」という化学反応を起こすことで「キシロース」という成分が出来上がります。

このキシロースに水素をつける(還元)ことでキシリトールが出来るのです。

キシリトールの歴史

発見から一般への普及

キシリトールが発見されたのは1890年頃。ドイツの「Fisher and Stahe 博士」とフランスの「Betrand 博士」によって科学的手法によって発見されました。

1943年にはフィンランドに生えているシラカバの木から発見しました。

この時の世界は第二次世界大戦の真っ最中。フィンランドも枢軸国としてソ連と戦争(継続戦争)しております。

戦争を続けることで様々な物資が不足。その不足品の中には「砂糖」も該当しています。

「キシリトールは砂糖のように甘いから、コレで代用しよう」ということで、フィンランド中にキシリトールが広まっていきました。

この時に「インスリンは糖尿病の人でも安全に使用できる」という事実を発見したのです。

本格的な研究の開始と世界中での推奨

第二次大戦が終わり、冷戦へと突入した1960年代。キシリトールに対する本格的な研究が始まりました。

1962年には「キシリトールの体内での働きについて」「糖尿病患者に対するキシリトールの投与(注射・点滴)」が行われ、1963年にはアメリカで食品利用が認可されています。

1970年にはフィンランドのツルク大学が「キシリトールは虫歯に対して効果的だ」ということを突き止めます。

5年後の1975年。世界初のキシリトールガムがフィンランドとアメリカで同時発売されました。

1972年に「公衆衛生に関する法律」が施行された際、世界で初めて「虫歯予防」に対して力を入れるよう方向転換(これ以前虫歯になったら削って治療する方針)。

その為キシリトールガムは飛ぶように売れ、「お菓子」「キャンディー」「ミントアイス」といったのにも配合されるように。

この方針は今でも続いており、フィンランド国立保健福祉研究所は「 食事後にすべての1歳〜6歳の子供にキシリトール菓子を与えること」が推奨 されています。

さらにキシリトールの配合されたお菓子は「一部税金の免除」などを行い、徹底的に虫歯予防に努めています。

1992年にはイギリスの歯科保健財団もキシリトールの使用を推奨。ここから世界中でキシリトールが推奨されていきました。

【まとめ】キシリトールは簡単に虫歯予防が出来る甘味料

キシリトールは発見こそフランスとドイツですが、フィンランドから世界中に広がった成分。

最初はただの砂糖の代わりでしたが、「歯に対する効果」が判明してからは積極的に取り入れる動きが活発化しております。

元々が甘味料なので子供も好んで食べてくれるのが大きなメリット。

虫歯は子供の頃からしっかり予防することで、健康寿命が延び、治療費が少なくなります。

積極的にキシリトール入りのガムを使いたいですね。

ただし、「歯周病」に関してはキシリトールは効果がありません。

大人になったら「歯周病」に対して効果のあるマスティックガムの併用も行うべきでしょう。

マスティックガムについてはこちらで詳しく解説しております。